理想の正体
なぜ私たちは理想をもつのでしょうか?
「私の理想は○○だ」と言うときの理想とは
いったい何でしょう?
理想とは思考が作り出したものです
「○○のようになりたい」「△△にはなりたくない」
といった概念は長い時間をかけて頭の中で
出来上がるものではないですか?
それは少しずつ形を変え更新されていきますが
どれだけ変化しようと理想は思考が作り上げた
イメージ・概念です
だとすると私たちは自分のこしらえた概念を
必死に追い求めていることになります
これは何とも馬鹿げていませんか?
かくいう私も以前は「真理に到達して愛に溢れる人に
なるんだ」という自分の思考が巧妙に考え出した
概念を必死に追い求めていました
自分でこしらえたものを必死に追い求めていたとは
いま考えると滑稽ですが、しかし当時は
それが尻尾を追いかける犬と同じだとは
考えもしませんでした
しかし理想をよく調べてみると
理想は単なる概念に過ぎないことがわかります
理想を追い求める=過去に生きる
強固な意志の持ち主や理想を追い求めている人を
社会は賞賛します
あなたもそうではないですか?
殆どの人は理想と行動が一致している人々を
褒め讃えます
賢者や偉人、成功者を勝ち組と呼んで讃えます
サクセスストーリーが売れるのも
1つのことに向かって頑張る人を
「スゴイ」と思う人が多いからです
しかし…
理想と行動が一致しているなんて怖くないですか?
なぜなら…
概念に過ぎない理想と生身の人間がとる行動が
一致しているということは、彼/彼女は
概念と同じように冷たい性質を帯びている
ということだからです
それに…
理想と一体化した人が
今を生きていると言えるでしょうか?
理想は既知なので、理想を追いかける者は
過去に生きていることになりませんか?
※『過去に染まると今に生きられない』
理想は葛藤をもたらす
人は日々、変化しています
あなたは昨日のあなたと同じではありません
日々刻々と変化しているものを
特定の型にはめこむことなどできません
無理矢理はめこんでその型に収まった人は
もはや生きているとは言えないし
無理にはめこもうとすると、矛盾が生じます
不可能なことをしているのですから
矛盾が生じるのも当前です
しかし殆どの人はこういうことを日々やっています
「すべき・すべきではない」という規律に
躍動する生き生きしたあなたという生き物を
はめ込み、正しい行為をしている気になって
いますがあなたがしていることは
概念のように心を冷たくしているだけです
このような不自然な行為をやっているから
心は恐怖や不安、ストレスで一杯になるのです
[今の自分]と[理想の自分]の間で葛藤し
今の自分のまま人生が終わってしまっては
困るという恐れや不安や焦りから
苦しみや悲しみ、絶望感が生まれます
理想がもたらす矛盾をしっかりと見ましょう
理想を持つことの危険を理解して
理想から離れましょう
理想をもたなければどうなる?
理想を持たずに生きるとどうなるでしょうか?
ありのままの自分だけがそこには存在します
わかりますか?
理想をもたないと今のあなたがどんなあなたであろうと
あなたが存在するだけです
そこに「あなた」と「理想」という二元性は存在しません
あなただけしか存在しないので
あなたは自分自身と向き合えばいいのです
とてもシンプルでしょう?
事実はこんなにも単純なのです
観念や概念という事実ではいものが物事を複雑にします
理想があるときに抱く複雑な感情に
悩まされることはありません
「あなた」と「理想」というような虚偽の分離は
存在しないので「自分」と「理想」の間で
葛藤して苦しむことはないからです
また、理想をもたなければ到達すべきゴールは存在しません
「まだ到達できていない自分」と「到達した未来の自分」
を比較して落ち込んだり焦ったりすることもありません
理想を持つことの危険を見る
理想を持つことの危険を見ることができましたか?
危険を理解しなければ理想は捨てられないので
理想を終わらせるために1番大切なことが
危険を理解することなのです
理想を持つことの危険を理解すると
「理想の自分」は消滅し「今の自分」が残ります
危険なところには近寄らないように
あなたは理想から離れます
こうして理想を落とすと先ほども言ったように
あるがままのあなただけが残ります
ダメな自分であってもそこには
ありのままのあなたしか存在しません
実際にいるのはダメダメな自分だけだと理解すると
あなたはあるがままの自分にとどまります
なぜならたとえ嫌だとしても自分を遠ざけることは
できないからです
自分の1部を切り離すことなどできないことがわかると
切り離したい部分を注意深く見つめるようになります
空しさや悲しみ、寂しさから逃げないで
見つめるようになります
あるがままの感情を丁寧に観察します
この静かな観察があるがままの心の正体を明らかにします
わかりますか?
理想を持つことの危険に気づいたからこそ
あなたは自分の感情を見つめて理解できるのです
理想という概念を捨てると
自己観察・自己理解ができるようになります
※『自己理解:自己に対する絶え間ない学び』
『自己を理解すると物事の本質を見抜くことができる』
ありのままの自分にとどまる
しかし99.9%の人はそのようにはしません
自分の醜さや空しさに少しでも触れようものなら
直ぐさまそれを覆い隠して、不快な感情を
忘れさせてくれる活動に没頭します
自分の頭の中や心を忙しくして
ありのままの自分から逃れるのです
しかしあなたが何に夢中になろうと
自分から逃れることなどできません
なぜなら逃れようとしている醜さや空しさ、
寂しさという感情はあなたそのものだからです
このことに気づくとあらゆる逃避行為は終わり
自分と向き合い始めます
※『逃避しない:惨めな人生・あるがままの自分を直視する』
理想は逃避
あるがままの自分と向き合わなくてすむように
人は理想だけでなく観念やイメージを作り出します
夢や目標といったものがそれです
多くの人は事実よりフィクションに魅了されるように
あるがままの感情と向き合うより素敵な理想を描いて
それを追いかける方が楽しいからです
ただ…
あれやこれやの観念で事実~感情~を覆っても
不快な感情からは自由になれないし
あなたの心は変わりません
変わらないどころか逃避の手段となった理想が
新たな葛藤や苦しみをプラスするのです
理想を追いかけることは事実からの逃避なので
あるがままの自分からの逃避です
逃避するかぎり、人は変わりません
変わらないどころか…
理想に逃げたことでその理想から
不快な感情~葛藤・恐怖~が生まれ心は醜くなります
※『苦しみの正体を理解して苦しみから自由になる』
『理想を持つことの危険を理解して手放すと苦しみは消える』
鋭利な観察
理解できないものを私たちは恐れます
だから自分のことが理解できていなければ
恐れという感情から自由にはなれないのです
難しく聞こえるかもしれませんが実はとても単純です
なぜなら…
自己について理解するだけで恐怖から自由になれるからです
自分の感情や思考ときちんと向き合うと
あなたは自己について理解するので恐怖は消えます
だから心に生じた感情を見つめて理解し
あらゆる感情から早く自由になりましょう
理想や夢や目標といった概念に逃避するのではなく
現在の心の状態を見つめることで花開く感情を
~空しさ・寂しさ・悲しみを~理解して
それらから自由になりましょう
観察こそがあなたの感情を終わらせるのです
観察が不快な感情からあなたを自由にしてくれます
だから必要なのは自分自身を直視することだけなのです
理想など不要であるばかりか毒となるものは
早々と捨ててしまって、あるがままの心を見つめましょう
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