欲望・執着からの自由

2020/04/20

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A 無欲への執着も執着、こだわりなきことへのこだわりも執着。
  執着を手放すにはどうすればよいかなどと問うかぎり、
  執着から自由にはなれないというのは、正論ですか?

私 はい、

A では私たちは生きているかぎり、
  欲望を捨て去ることはできないということですね?




私 どうしてそうなるのですか?

  無欲に執着するのも自己、
  こだわりなきことへこだわるのも自己、
  執着を手放す方法を問うているのも自己...

  このどれもが自己の運動であることを、
  あなたは理解されたのですよね?

  これは自分自身の内部に深く潜って、
  調べた人でなければわからないことです。

  しかしあなたはそうされたのですよね?
  それとも知識として取り入れただけですか?




A 書物を頼りに自己を観察した結果、
  書物に書かれていたことが本当だとわかりました。

私 ではあなたにとって事実だということです。
  あなたの血となり肉となっているということです。

  しかしそうであればどうも可笑しいのです。
  
  というのはあなたが理解したのであれば、
  そのとき何か起きたはずだからです。

A 仰っている意味がわかりません。




私 仕切り直しましょう。

  無欲に執着するのも自己、
  こだわりなきことへこだわるのも自己、
  執着を手放す方法を問うているのも自己..

  このことをあなたは洞察されました。

A はい、欲望を捨て去ることは不可能だと、
  理解しました。

私 いえ、そうではありません。
  結論に達したのは、その後です。

  あなたはまず、無欲に執着するのも自己の働きであり、
  こだわりなきことへこだわるのも自己の働き、
  執着を手放す方法を問うているのも自己の働きだと
  いうことを洞察しました。

A はい、




私 このことを洞察すると、何が起こりますか?

A だから欲望を捨て去ることは無理だと、
  わかりました。

私 慎重に進みましょう。

  右へ進もうと、左へ進もうと、前へ進もうと、
  後ろへ進もうとそれはみんな自己の働きであることを、
  理解すると何が起こりますか?

A .....

私 あなたは一歩も踏み出せなくなります。

  欲望を捨てようと躍起になるのも自己、
  欲望をコントロールしようとするのも自己、
  欲望のままに生きようとするのも、
  自己の働きだとわかったときの、
  あなたはどうなりますか?

  欲望をどうすることもできない、
  何一つ行えることはないことを洞察すると、
  あなたの『自己』は沈黙します。

  逃げ場をなくした『自己』は運動を止めます。

  このとき、何が起こりますか?

A .....

私 自己の運動すべてが止まると、欲望は消滅します。

  自己のないところ、欲望はありません。

  何をしようと消えなかった欲望は、
  自己の動き全体を洞察することで消えるのです。




A『欲望を捨てることが悟りの境地であるが、
  人は決して欲望を捨てることはできない。
  つまり生きている限り、人は悟れない。
  だったら悟りを求めることは諦めて、
  欲望を制御しながら、朗らかに生きよう!
  執着を捨てることに執着することを止めて、 
  悟りの境地を求めることを止めるよう』

  これは親鸞が到達した悟りの境地です。



私 だからどうだと言うのですか?

  彼の主張があなたにしっくりくるからといって、
  それが真実であるということにはなりません。

  誰かの結論を安易に受け入れるのは止めましょう。
  ここに書いていることについても、です。

  誰かの主張や結論を鵜呑みにするのではなく、
  あなた自身の欲望を観察して、
  ご自身でその真偽を確かめましょう。

  そのためには自己の動きを最後まで、
  追い込まなければなりません。



  あなたが自己の運動を本当に理解すれば、
  自己の動きは自然に止まり、欲望は消滅します。

  人は欲望なしに生きることができます。

  欲望の構造全体を理解すれば、欲望は大人しくなります。



  自己を注意深く観察することによって、
  私の言っていることの真偽を確かめてください。

  親鸞の言葉を鵜呑みにして、
  一生欲望とつき合っていこうとするのではなく、
  「人は本当に欲望から自由になることはできないのか」
  まずは内部に深く潜って、ご自分で答えを見出しましょう。



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真理探究に15年を費やした後あらゆる修行・規律・イデオロギーは不毛であると気づく。以来感覚だけを頼りに思考と感情を刻々と観察しながら自己について学んでいる

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