人は1日6万個の物事を考えると言われています
そして思考の95%は昨日と同じだそうです
考えてみればそうですよね
思考は記憶、知識、経験であり
知識と経験を脳に記憶として蓄えています
蓄積された知識や経験はすべて過去のものだから
思考の中身はすべて過去ということになります
つまり思考の運動は時間(過去)の運動です
思考が活発なときというのは
過去が脳内を激しく動き回っている状態なのです
思考は常に過去に基づいているわけですから
昨日と今日の思考が似通っているのは
当然といえば当然なのです
思考がどうしようもないのは知ってる音楽しか
流せないくせにあらゆる問題を解決できると
思い込んでいるところです
これはとんでもない間違いです
なぜなら今ある問題を思考という過去で対処しても
解決はできないからです
どんな問題であっても問題(現在)を
思考(過去)で対処することは決してできません
問題を解決することができるのは思考が沈黙するときに
働きはじめる英知であり思考ではありません
英知についてはこちらの記事をお読みください
→知識・英知・叡智
もちろん思考にも重要な役割があります
蓄積した知識や記憶が役立つ分野は確かにありますが
それは非常に限られています
もっと言うと人生の殆どの領域においては
思考は役に立たないばかりか有害なのです
これまで蓄積してきた知識や記憶を総動員して
思考を最大限に働かせることで役立つ領域は
仕事、勉強、会話や文章を書いたりするときですが
限定された思考は自分自身を理解したり
他者を理解するときの妨げになります
つまり思考に人間関係や心の問題を解決することは
できないのです
しかし殆どの人はできると信じています
知識さえあれば何でも可能だと..
だから多くの人は知識に安定や安全があると信じて
生涯知識を貯え続けるのです
知識重視の社会がこのように私たちを
条件づけてきたのかもしれませんが
実際は知識は生のほんの一部でしかないのです
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常に安全を求める思考は四六時中
既知である知識や記憶を頭の中で再生します
過去を作動しているあいだは安全などどこにもないのに
思考は、過去にしがみついて安全を得ようとします
どういうことかというと思考は
あるパターンを作ってその中に
住み込むことで安心を得ますが
ひとたびパターンが破壊されると
今度は別のパターンを作り出して
そこに安心を求めます
こうして私たちは既知から既知へと渡り歩きます
1つの価値観から別の価値観
1つの結論から別の結論
1つの主義から別の主義
1つの政党から別の政党
1つの信念から別の信念へと....
しかしどのパターンも過去の運動に過ぎず
現在に正しく応答することはできないので
決して安全ではありません
つまり思考は存在しない場所に安定を求めて
過去を永遠に繰り返しているのです
過去を掘り返す人がいます
これはおそらく過去の記憶を作動させる方が
現在を生きるより易しいからです
事実に働きかけることも変えることもできず
事実から逃げること以外なにもできない思考は
壊れたレコードのように過去を繰り返します
プールのほうが川を泳ぐより楽なように
思考は現在ではなく過去に生きることを選ぶのです
知らない道より知っている道の方が安全だし
注意を払う必要もないからです
どんなに辛い過去だとしても殆どの人が
頭の中で過去をリピートするのはこのような理由からです
過去に生きていれば新たな傷を負うことはありません
多くの人が何が起こるかわからないという緊張感や
傷つけられるかもしれないという恐怖を味わうよりも
過去に生きることを好みます
そのためにどんなに憂鬱になるとしても
未知に向き合うよりはマシだからです
現在という未知なる川を泳ぐには
凄まじい注意力とエネルギーが必要ですが
過去という川を泳ぐには何も必要ありません
だから殆どの人が過去にしがみついているのです
思考に浸りがちな人、思考に苦しめられている人
過去の出来事で頭がいっぱいになっている人は
この事実を直視しなければなりません
あなたが過去に逃避しているという事実と
そうやって自分を守ろうとしていることに
気づかなければなりません
そして存在しないところに安定を求めても
安定は得られないことも理解しましょう
思考という過去には安定などないことを
理解しましょう
過去にしがみついているかぎり
現在という瞬間に存る美しさに触れることはできません
思い悩みという柵の中に囲われ囚われの身となっている人は
「辛いんだよ」と反論するかもしれませんが
過去に浸っているほうが未知に飛び込むことより
楽だから過去に生きることを自ら選択していることに気づきましょう
膨大な記憶は重荷であり
何かを新しく経験することはできません
素敵な思い出を頭の中で何度再生しても
それは過去であり過ぎ去ったものであり
命のないものであり生きているという感覚を
与えてはくれないのです
頭の中を過去でいっぱいにしていては
現在という新たな瞬間を過去から自由な
透明な心で感じ取ることはできません
過去の悲しみや苦しみで今にも窒息しそうな心で
現在〈いま〉に出会うことはできないのです
決まりきった意見や観念、悲しみや苦しみで、
心という鏡を覆っていては現在という瞬間の
1つ1つの姿がその上に映らなくなってしまいます
ですから心を過去から解放しましょう
※『刻々と変化する生とパターン化された心』
物事が起こったときにそれに出会い
その本質を観察して直ちに解決するためには
あらゆる過去が止まなければなりません
このことが本当に理解されると
知識の糸はほどかれてゆきます
知識は人生のほんの1部でしか
役立たないことを理解するからです
すると思考は必要なとき以外は沈黙するようになります
思考が沈黙するとようやく問題を解決することのできる
英知があなたを通して働き出します
生は絶えず動いています
生は毎日毎分新鮮なアプローチを要求しています
あなたは裸一貫で新たな生に出会わねばなりません
複雑で素早く変化する生に出会うためには
頭の中の過去を片付けなければなりません
なので濁った水は全部捨てましょう
過去という濁った水、記憶という濁った水
思考という濁った水、苦しみという濁った水を
全部捨てて流れる水でありましょう
そうすると精神が腐ることは決してありません
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