「情報と知識をたくさん蓄積することによってのみ、人は発展できる」
と学者たちは主張します。
しかしこれは本当でしょうか?
人はこれまで、何千回もの戦争を経験してきました。
「人を殺すべきではない」ということを知っていながらです。
殺すべきではないという知識は持っていても、
それが人や動物を殺すことをやめさせるわけではありません。
知識通りに行動するかというと、そうとは限りません。
また知識はあっても「知識は人間の問題を解決できない」
という事実を知りません。
このことを知ることが英知であり、
叡智が知識によって目覚めることはありません。
叡智は知識を用いることはできますが、
知識が叡智的に機能することはあり得ないのです。
「ではどのようにして英知を目覚めさせられるの?」
と質問したくなるかもしれません。
しかしこの問いこそ、私たちがいつもやっている知識を
得ようとするやり方なのです。
どういうことかというと、
方法 = 知識を得て叡智を機能させようと目論んでいます。
つまりあなたは、知識が解決してくれると思っています。
知識があらゆることを解決してくれると、
あなたは条件付けられているのです。
このように知識は私たちを支配します。
脳はいつも〈既知のもの〉を付け加えて毎日更新していきますが、
それは以前として過去に基づいています。
したがって脳は常に、既知のものに制限されているのです。
知識から自由になるためには知識に支配されていること、
脳が知識によって制限され条件付けられているということを
理解しなければなりません。
方式・方法は、脳を特定の型にはめます。
方法を実践することで、脳は機械的に単調になります。
知識の絶え間ない運動はそれがどんなに高尚な知識であっても、
脳を機械的にしてしまうのです。
知識の構造を学ぶことが、英知の始まりなのです。
したがって、知識はどんなに膨大であっても
有限だということを理解しなければなりません。
そして有限なもの・既知のものは、
刻々と変わりゆく生・新たなものを
決して理解することはできないということ、
つまり人間の問題を解決することはできないということを、
知らねばなりません。
知識の全構造を観察し理解するとき、
叡智はそこに在るのです。
叡智は知識のように努力して獲得できるものではなくて、
知識の構造を観察して理解したときに機能し始めるのです。
知識の限界を知り知識に支配されなくなったとき、
叡智は働きます。
そして何にも制限されていない無限で自由な叡智が、
人間の問題を解決するのです。
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