時間の正体：心理的には時間は存在しない

心理的に時間は存在するの?

日が昇って日が沈むまでの時間は
確かに存在します

思考はこれを一日とし
昨日・今日・明日と時間を分けました

このように物理的な明日は確かに存在しますが
心理的な明日というものがはたして本当に
存在するのでしょうか？

この問いを調べる前に心理的な時間とは何か
心理的な明日とは何か見ていきましょう

心理的時間ってなに?

心理的な時間とは、精神的に何かに
なりゆく時間のことです

英語を学んだり楽器を学ぶには
ある程度の期間が必要ですよね？

このときにかかる時間が物理時間です

一方、優しくなろう、短気を直そう
いうように精神的に変わるのに要する
時間を心理的時間といいます

思考は常に断片的である

思考を観察するとわかることですが
思考にはまとまりというものがありません

あることを考えたかと思うと次の瞬間には
それと相反することを考えてたりします

これは何を意味するかというと思考は
その性質上断片的で分裂的だということです

思考が心理的な時間を作り出した

思考はその性質上分離したり
区別することくらいしかできないので
あらゆるものを分けることが得意です

地理的に思考は世界を国で分離し
人々を宗教や文化、肌の色で分けました

断片的である思考はこのように
どんなものでも分けてしまいます

このように分離することしかできない思考が
時間を物理的な時間と心理的な時間に分けました

心理的な時間は本当に存在するのか!?

思考は心理的な時間を作り出しました

思考が【心理的な明日】をこしらえたのです

殆どの人は心理的な時間が存在すると
錯覚していますが【心理的な明日】とは
浅はかな思考が自らの欲や野心を
実現するために作り出したものです

優しくなるためにはある程度の時間が必要だ
内的に成長するには時間がかかる…
というふうに思考は心理的な時間を
作り出しました

心理的には時間は存在しないのに…です

このことについては後でお話します

心理的な明日ってなに!?

心理的な明日とは何でしょう？

どのようにして思考は
心理的な明日を生み出すのでしょうか？

私たちは自分自身に頻繁に語りかけます

・いつか立派な人間になる
・精神修行の効果があと少しで現れる
・必ず優しい人になる
・執着を少しずつ手放そう
・真理に到達すべく努力しよう
・いつか偉大な人になる
・近い将来聖人になる
・多くの人を助けられる人になる

（下線部は心理的時間が介入していることを示します）

時間はこうして精神的領域に入り込む

このように思考は数多くの明日を生み出し
明日に希望を繋ぎます

例）1ヶ月以内に痩せる
　　必ず1年以内に昇進する
　　6ヶ月で語学をマスターする…

物理的なことに関しては
この方法でも問題ないかもしれません

というのは上記のような物理的なことを
達成する為にはたしかに時間が必要だからです

私たちは語学習得や大学合格といった成功体験から
精神的成長にも時間がかかると思い込んで
しまったのだと思います

だから優しくなるため、怒りを克服するためには
時間が必要だと殆どの人は思い込んでいます

このような心理的な時間がはたして本当に
存在するのかをこれから見て行きます

物理的時間と心理的領域

努力して英語をマスターした
↓
習得には多大な努力と時間がかかった(←物理的時間)
↓
この成功体験から精神的向上にも
努力と時間が必要だと考えるようになった
↓
優しく愛情深い人間になりたい
↓
そのためには努力と時間が必要だ
↓
専門書を沢山読んで優しい人間になるための
実践法を探し出してそれを日々実践する
↓
明日 or 未来に成熟した自分を投影する
↓
この明日が心理的な時間

今変わることの大切さが失われた

人は精神的に成長するためには
時間が必要だと考えるようになりました

人はこのように長年条件付けられているので
精神的向上に時間がかかると思っています

だから時間を必要とする最新の実践法が載っている
自己啓発本やスピリチュアル本が売れに売れるのです

心理的な時間を受け入れたことによって
今変わることの大切さや緊急性は失われました

今日自分が優しくないと感じたら
あなたは優しくない自分を今日で終わらせようとしますか？

それとも…

自己啓発本や宗教書を読んでそこから
優しくなるための実践法やヒントを見つけますか？

あなたが後者ならすぐには変われないと思っているから
今日で優しくない自分を終わらせようとしないのです

心理的な時間が存在すると思い込んでいるから
優しくない自分を今日終わらればいいものを
数か月、あるいは数年優しくない自分のまま
でいることになるのです

思いやりがある人になるためには
時間が必要だと思っている人は
今この瞬間に変わることはできません

それではいつまでたっても人は変われないので
心理的な時間が存在するという思い込みを
取り除くことがまず最初にやるべきことです

そこであなたに質問です

心理的な時間というものは本当に存在するでしょうか？

※『心理的になりゆく時間は存在する?』

心理的な時間は存在しない

モノにひどく執着しているので
どうにかしたいと私が思っているとします

しかし執着している心に【いま】取り組まなければ
私は【明日も】モノに執着したまんまです

たくさんの自己啓発本を読んだとしても
今この瞬間に私の内面が根本から変わらないと
執着する心が変わることはありません

沢山の本を読むことで私は執着について
理解した気になるかもしれませんが
知識が執着を取り除くことはありません

というのは知識は私の実際の心ではないからです

書物から学んだ知識は著者の体験や見解で
私の実際の執着した心についての
語られたことではないからです

事実を見るときに心は変わるのであって
知識が心を変えることはないのです

心理的領域における知識は役に立たないのです

※『心理的知識について』

執着は明日ではなく今落とす

たくさんの本を読んだあとに
私は無執着を実践するかもしれません

数日間、数週間、数か月
私は真剣に実践するでしょう

しかし実践しているあいだ
人生が止まってくれるわけではありません

私が執着から自由になるまで
人生は待ってくれません

ですから無執着を実践しているあいだに
色々な出来事が起こります

不幸や急を要する問題が発生するかもしれません

すると私は目の前の問題にかかりっきりになって
無執着を実践することをすっかり忘れてしまいます

何が言いたいかというと...

今変わらなければ永遠に変わらない

今というこの瞬間に執着を落とさずに
明日あるいは数年後に執着から
自由になることを期待しても
そのような明日は決してやってきません

今変わらなければ私は明日も明後日も
今日の私と同じです

いま根本的な変容がなければ
明日も執着した心のままなのです

「執着から自由になるには時間が必要だ」
と言うとき私は【その日】が来るまで
執着する猶予を与えています

自由になるまでは執着してもいいよと
自分に許可しているのです

今この瞬間に変わる

怒り・嫉妬・憎しみ・執着・恐怖から自由になるには
今この瞬間に感情から自由でなければ永遠に
自由にはなれません

いま自由にならなければ何千という明日を
怒りや嫉妬執着や憎しみを抱えて生きることになります

ですから心理的に時間は存在しないことを
きちんと理解しましょう

理解したとき心理的な時間は終焉します

つまりあなたはもう
心理的な時間を生み出したりしません

心理的時間の虚偽を見抜けばそれは終わります

今の自分が即未来の自分なのだとわかると
今変わることの緊急性を実感します

いま変容することなく将来変わることなど
あり得ないことを理解しましょう

こうしてあなたが現在にとどまるとき
変容は起こります

ありのままにとどまると…

未来の姿を思い描くことに夢中になると
自分のありのままの姿を見つめることはできません

山に登っているあいだずっと
頂上の景色に思いを馳せていたら
途中出会う生物や風景の美しさに
気づけないのと同じです

未来の自分ではなく現在のありのままの自分に
とどまるときあなたは変容します

心理的な明日に対して死ぬことが大切です

それはどういうことかというと「いつか〜になる」
という思考の虚偽を見抜いて今日を
全的に生きることを大切です

『将来きっと〇〇になる』ではなくて
一瞬一瞬を時間を介入させずに生きること
未来に何も持ち越さずに全的に生きましょう

このように今日を全的に生きるとき
あなたの存在全体が変容を遂げます

※『変容は瞬時に起こる』
　『ありのままの自分にとどまる』


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