正しい行動をとるためには正しい観察が不可欠である

『正しさ』についての記事で
次のように書きました

死物には死物で対応可能ですが
生に死物で対応すると
生とあなたの行為との間に
ズレが生じる

ズレが生じなければ
あなたの行為が混乱を
もたらすことはないけれど...



「死物」という表現のせいか
言わんとしていることが
なかなか頭に入らなかった
というご指摘をいただいたので
今回はここの所をもう少し
わかりやすく書いてみようと
思います



思考はコロコロと変わるので
人は概念や思考をなにか
生命のあるもののように
捉えています

ですから【思考が過去の運動】
であることを強調したくて
死物という強い表現を用いましたが
死物という言葉は忘れてください

過去(既知)で過去(既知)は対応可!

電化製品を買うと
取扱説明書が付いてきますよね

説明書通りにやっていくと
何であれきちんと作動します

車やパソコン、テレビといった
機械を扱うときにはそのものを
よ～く観察しなくても
マニュアル通りに進めば
使えるようになります

機械は人間の心や動物や昆虫、
花や空のように刻々と
変化するものではないので
マニュアルという既存のもの
固定された知識は役立ちます

これが死物(機械)は死物(知識)で
対処可能というところの意味です

生あるものに既知で応答は不可!

一方、人の心のように
瞬間瞬間変化するものを
理解するためには
瞬間瞬間の徹底的・情熱的な観察が
必要不可欠です

フロイトやユング、アドラーの
心理学をいくら学んでも
また倫理や規律に従って
行動しても生あるもの(現在)に
既存の知識(既知・過去)で
正しく応答することはできません

相手の心や自分の心は
フロイトやユングが見出した
心とは別物です

あなたの怒りは心理学者が
怒りについて発見したものと
同じではありません



私たちが自らの心や他人の心を
刻々と熱心に観察しないなら
変わりゆくものを正確に
理解することは決してできません

それをせず、倫理や道徳といった
既存のマニュアルに従って
行動するとその行動は必ず
矛盾や混乱を引き起こします

というのはあなたの行動は
現在に適切に応答してないので
微妙にズレておりこのズレが
矛盾や混乱を引き起こすのです



例を挙げます

恋人が泣き出したときや
取り乱したときには
とりあえず謝れば丸く収まる
という経験をしてきたとします

するとあなたは恋人が取り乱したとき
に彼女の言葉に耳を傾けるかわりに
咄嗟に謝罪の言葉を連発します

というのは過去にそれで
上手く行ったからです

過去のあなたの彼女には
それが正解だったからです

しかし忘れてはいけないので
現在の恋人は過去の恋人とは
違います

同じ反応をするとは限らないのです

彼女自身をよく見なければ
あなたは適切な行動を
とれないのです



では適切な行為
現在に正しく応答するとは
どういうことでしょう？

現在に正しく応答するとは
彼女の表情や声のトーン
彼女の言い分に全注意を払う
ことで促される行為です

つまり純粋な観察は正しい行動を
内部にもっているのです



しかしあなたはそうするかわりに
自分の経験が指示するリアクション
をとりました

咄嗟に謝りました





しかしこれに彼女はさらに激怒します

「悪いと思ってないのに
　簡単に謝らないでっ」

あなたは面食らいます

なぜならいつものやり方が
彼女に通用しないから

彼女の不平不満はエスカレートし
喧嘩は悪化する...かもしれません





こういう事ってよくありませんか？

これが現況をありのままに観察せずに
経験(過去)に基づいて
応答する場合に起こる衝突・混乱です

※『部分的な行為は混乱をもたらす』
　　を併せてお読み下さい



先日の記事のなかで
『生と過去に基づいた行為との
　間にはズレがある』と書いたのは
こういうことであり
現在に適切に応答するかわりに
倫理や道徳や経験といった
過去(既知)で応答するから
矛盾や混乱・衝突が生まれるのです


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