自己矛盾の解決:分離をもたらす安定願望

2019/05/09

愛 真理 自由 秩序 葛藤 矛盾 混乱 逃避 利己的な私 理解 洞察 事実

t f B! P L
安定願望が却って心を不安定にする



前回の投稿では私たちの内部がいかに分裂しているかについて
見てきました

ですので本記事を読んでいる読者の方はおそらく
内部の断片化を事実として見ることができているでしょう

心の中がバラバラかどうかは葛藤しているか否かでわかること、
心が断片的であるかぎり外側に混乱をもたらしてしまうことを
前回の記事でお伝えしましたが今回は断片化がどのようにして
生じたかについて調べていきましょう

前回の記事:自己矛盾の解決:葛藤を理解する

心がバラバラなのは安定願望を持っているから


私たちの内面がバラバラなのは
安定を求めているからではないでしょうか?

内なる平安を求めるが故に心の中はバラバラになり
不安定になっているのではないでしょうか?

内なる平安を手に入れようと人は沢山のことをやっています

つまり行為が精神安定剤の役割をしているのです

ここからは心の安定剤になっているものを見ていきます

精神安定剤となっているもの


  • 私たちの精神安定剤は自分が属するコミュニティです
  • 私たちの精神安定剤は日本人という国民意識です
  • 私たちの精神安定剤は宗教です
  • 私たちの精神安定剤は神/仏です
  • 私たちの精神安定剤は仕事です
  • 私たちの精神安定剤は家族です
  • 私たちの精神安定剤は恋人です
  • 私たちの精神安定剤は娯楽です
  • 私たちの精神安定剤は習慣です
  • 私たちの精神安定剤は夢・理想・目標です
  • 私たちの精神安定剤は野心です
  • 私たちの精神安定剤は、蓄えてきた知識です

いかがですか?

上記のものは私たちに安定・安心をくれませんか?

何かに属することで私たちは安心します

何かと一体化することで、私たちは安心感を得ます

一体化することでエゴが膨み心は醜くなる


あなたが医者だとします

医者という職業があなたに安心感をくれますよね?

それは社会的地位をくれるし人からの尊敬を得られるし
何より経済的な安定を約束してくれます

医師であるあなたに興味をもつ異性だって沢山いるでしょうから
あなたは男性としての自信も得るかもしれません

医師という職業があなたが特別な存在であるように
感じさせてくれるのです

自分は価値ある人間であり、人から必要とされる
人間であるという気持ちを抱かせてくれます

わかりますか?

医師という職業があなたに充足感や満足感を
味わわせてくれるのです

しかし良いことばかりではありません

むしろ良いことは経済的な安定だけで
あなたの心は醜くなっていきます

医師という職業と一体化したばかりに
あなたのエゴはぶくぶくと太ってしまいます

エゴが太るということはあなたは自己中心的で
傲慢になりより大きな力を求めるようになるので
心は優しさや思いやりから遠ざかっていきます

※『優しさとエゴは共存しない

エゴは他者との間に分離を生む


エゴが膨らむと人は優越感やプライドを
持つようになりそれが他者の間に分離を生みます

『自分は特別な存在だ』というエゴが
他者と自分を引き離すのです

分離のあるところ、必ず対立・衝突が生まれます

つまりエゴがあるところには必ず分離があり
分離があるところには争いが生じるということです

優越感やプライドをもつとき
あなたは自分を高い所に置いてそこから
他者を見下ろしているのです

こうして『自分は特別だ』というプライドが
他者との間に分離を生むのです

部分は全体を捉えることはできない


またあなたは常に医師としての立場から物を言うので
あなたの見解は限定され全体的な視点で
物事を捉えることができません

医師という職業はあなたの1部であることは事実ですが
その立場からあらゆる物事を見ているかぎり
あなたの観察は部分的であり部分的な観察では
部分的な理解しか得られません

つまり医師という限定された視点からしか
物を見れないあなたは限定されているのです

医師であるあなた、父であるあなた、信者であるあなた
子供としてのあなた…というようにあなたの内面は
分裂しているので断片同士がぶつかって多くの葛藤を
抱えてしまうのです

医師という職業はある種の安定を与えてはくれますが
同時にエゴも膨らんで傲慢になり
他者との間に距離を出来て一層孤立して
寂しさや不安を感じるようになります


つまり安定を求めた結果、手にするのは不安定な心なのです

関連記事:特化しないで全体的に生きる

国家と一体化するとどうなる?


もう1つ例を挙げます

あなたは自分のことを日本人だと思っています

国に属することで、あなたは安心します
他国の人に日本人の資質を褒められると
あなたは日本人であることを誇らしく思います

このときあなたが嬉しいと感じるならそれは
あなたが日本という国と一体化しているからです

一体化していなければあなたは賞賛には動じません

しかし日本と一体化しているあなたはよその国の人に
「僕ら日本人は謙虚で礼儀正しくて繊細だけど
 君たちにはどんな資質があるの?」などと問うのです

わかりますか?あなたの見解は断片的で偏っています

あなたが自分自身を日本人という枠に限定すると
日本人以外の人と分離してしまいます

分離するということは対立するつもりがなくても
分離には対立・衝突・争いの芽が隠れているのです

何千年もの間、私たちはただの概念に過ぎない
国民意識というものを持ち他国と争ってきましたが
国家と一体化するかぎり戦争はなくなりません

オリンピックを見ると多くの人が自国の旗を振り
顔には国旗のメークをして応援する姿をよく目にしますが
彼らはただ楽しんでいるだけなのでしょうが
自分たちのやっていることが分離を讃え合う
行為だということに気づいていません

彼らは理解していないのです

国家という刷り込まれた分離によって
自分たちが応援していることを!

別の国に生まれていたら彼らの手にする国旗も
応援する選手も違っていたことを!

別の国に生まれていたらいま応援している
日本という国は世界の一国に過ぎなかったことを

※『分離・対立の原因は一体化

社会も人も分離・断片化を促している


社会全体が内と外の断片化を促しています

なぜなら社会を作っている私やあなたの心が
断片化しているからです

分離の恐ろしさを知らないバラバラな心をもつ者だけが
分離を讃えるのです

自国の旗を振り自国の選手を応援しながら
世界はひとつだと私たちは言っているのです


矛盾しているでしょう?

心がバラバラだから言動が矛盾するのも当然です

彼らは気づいていません

握りしめている旗を捨てないかぎり
~愚かな国民意識を捨てないかぎり~
戦争はなくならないことに…

人類は1つになれないことに…

彼らが握りしめて離さない旗が分離の象徴です

私たちが自分の国、自分の信じる宗教、自分の信じる神を
手放さないかぎり、異なる国、異なる宗教、異なる神を
信じて疑わない人と必ず対立するのです



関連記事:ナショナリズムの終焉

精神安定剤が実は心を不安定にしている


精神の安定を求めて概念と一体化しますが
精神安定剤が実は私たちを不安定にしています

国に属するから戦争は起こり
宗教に属するから宗教戦争は起こります

グループに属するから、他のグループの人と争うのです

とてもシンプルではないですか?

争いの原因から離れると争いは止むのです

ですから分離が争いの原因であることを理解して
分離をもたらす安全願望を手放しましょう

どんな職業でもそうですが医者・俳優・科学者・政治家と
いう職業と一体化して安心感を得ようとするから
それ以外の人との間に溝ができるのです

恋人に安定を求めるから
恋人がいなくなると心は不安定になり動揺するのです

精神安定剤だと信じて服用しているものが
私たちを不安定にしていることに気づきましょう


この気づき~洞察~が内部の断片化をもたらす
安定願望に終止符を打ち、心はまとまります

気づきが内面の分裂を終わらせる


気づき、理解、洞察…どう呼んでも構いませんが
事実を知覚するとバラバラな心に秩序が生まれます

自らの行為の愚かさを理解すると、無秩序な行為は止みます

秩序ある行為が生まれるのは、
内部の混乱~断片化~が終わるときだけなのです

秩序ある行為は心がバラバラであることを
自覚すると生まれます

内面の断片化が終わるのは
断片化がもたらす危険を理解するときなのです

精神的安定を求めるから心は分裂してしまうこと、
心の分裂が不安定にしていることを理解しましょう

この理解があなたに瞬時の行為を促します

自らの行為の愚かさに気づくプロセス


自分の行為が滅茶苦茶だということを理解する
 ↓
滅茶苦茶な行為が何をもたらしてきたかをよく見る

 欲望と欲望がぶつかって心に葛藤が生じ苦しんでいること、
 特定の宗教や国家、部族や政党に属することで争いが生まれ
 貧困問題や人種差別などの深刻な問題が生じていることを理解する
 ↓
しっかりと目を逸らさないで見る
 ↓
あらゆる行為を中断して立ち止まる
 無我夢中で走ってきた自分自身を振り返る
 ↓
無意識に国家や仕事と一体化していたという事実を見て
それが分離の原因であることを理解して一体化することを止める
 ↓
行為がガラリと変わる
 ↓
これまでのような条件反射的な行為はストップする
 ↓
分離をもたらす行為をしていないか
1つ1つの行為に注意を払うようになる
 ↓
あらゆることを問い始める

関連記事:アクティブな脳は問う・疑う
     生き方を問う・疑う・調べる

開いている心はバラバラではない


あなたはあらゆることに注意を注ぎ始めます

自分の行為が争いや分離を生んでいないか
~憎しみや衝突を生み出していないか~に 気を配るようになります

人との関わり方に全注意を払います

なのであなたの意識はあらゆることに開いています

心はあらゆるものに開かれています


あらゆることに開いている精神は断片的ではありません

生を1部ではなく全体として見ます

その精神は医者として働きつつ、物の見方は全体的です
つまり彼の観察は医師の観点に限定されていません

これまでの半分眠り込んだ精神とは大違いです

この鋭敏な精神があなたの行動全体に浸透するのです


全方向に鋭敏で開いている心には秩序がある


だからあなたは何をしても混乱をもたらすことはありません

どうですか?

混乱や衝突を生むことのない行為というものを
とってみたくはないですか?

もし答えがイエスならまずあなたの心を
バラバラにしているものを洗い出して
それを取り除きましょう

そうするだけで心はひとまとまりになり
ひとつにまとまっている心は
秩序ある行為しかとれません

関連記事
ノイローゼ・神経症的な行動
混乱している私・断片的な私
無秩序で矛盾だらけの行動への【気づき】
エゴを落とすと誰とも対立・衝突しない行為がとれる

☆☆

相談を承っております

詳細はこちらをご覧ください
オンライン相談について

このブログを検索

自己紹介

自分の写真
真理探究に15年を費やした後あらゆる修行・規律・イデオロギーは不毛であると気づく。以来感覚だけを頼りに思考と感情を刻々と観察しながら自己について学んでいる

問い合わせ

名前

メール *

メッセージ *

QooQ