苦しみ(辛い経験)は本当に人を強くし成長させるのか?

2020/01/09

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質問

楽な状況より苦しい状況の中でこそ、
人は自己成長の切っ掛けを掴めますよね?

それに苦しみを知っている人の方が強いし
他人にも優しくできますよね?

筋肉同様ある程度負荷をかけなければ心は鍛えられません


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まず「自己成長」という言葉ですが自己愛、
自己受容、自己肯定、自己否定、自己鍛錬
といった言葉と同じく、自己が前に付く
言葉にはどうも醜い言葉が多いようです

というのはそこではエゴが絶え間なく活動しているからです

なのでここでは自己成長という言葉は使わずに
人間性の開花という言葉を用いることにします

苦しみを通して人は成長するのか?


人は苦しみを通して成長するでしょうか?

これまで人類は戦争や災害によって、
深い精神的苦痛を味わってきましたが、
苦しみを通して成長してきたのでしょうか?

私たちが本当に経験を通して学ぶことができるのであれば
悲惨な歴史はこう何度も繰り返されないのではないですか?

苦しみを通して人が成長するのなら
特定の国や宗教に対する憎しみを現在も引きずるでしょうか?

・苦しみによって人は成長する
・苦しみを経験した人は強い
・苦しみを経験すると人に優しくなれる

これらはよく耳にするフレーズですがこれは事実ですか?

誰もが何となくそうだろうと思っていることを
本当にそうだろうかと問うてください

無意識に思い込んでしまうのではなく
真偽を掴むことが大切です

私はこのフレーズを決して鵜呑みにはせず、
また安易な結論にも至らず問いましたが
真実は逆だと感じています

苦しみから自由な人こそが本当に強く
優しさや思いやりを持っています

というのは苦悶する心には優しさが入り込む
余地はないからです

傷だらけの脳と無傷の脳


脳は問題を抱えていないときのみ
~つまり矛盾を抱えていないとき~
全体的に働くことができます

そして脳が秩序正しく機能しているときのみ
自然がそうであるように人は無矛盾に行動することができます

あなたがストレスを感じているとき
論理的に考えることはできないように
苦しみを抱えているとき正しい行動はとれません

物事がよく見えているときに正しい行動をとることが
できるのであり、そうじゃないときには不可能なのです

苦しみは事実に抗うときに生まれる感情であり
苦しみを抱えているということはつまり
彼・彼女は心に葛藤や矛盾を抱えており
混乱しているということです

そして混乱からとる行動は混乱しかもたらしません

きちんと伝えられているでしょうか?

心の中がとっちらかっているということは
脳がきちんと機能していない証拠です

なぜなら脳が全体的に機能しているときには
心はひとつにまとまっておりひとまとまりの心からは
葛藤は生まれないので、葛藤から生じる
苦しみや混乱からも自由だからです

つまり無傷の脳がきちんと機能するのであって
~論理的な思考や正しい行動がとれるのであって~
傷を負った脳ではないのです

苦しみは不要


苦しみを通して内面の葛藤・矛盾に気づき、
自分自身について学ぶ人はいるでしょうが、
自分自身について学ぶために、
苦しみを経験しなければならない、
ということでは決してありません。

もっと言うなら苦しみという傷を負っていない脳が
人間性を開花するのであって、
傷だらけの脳にはできません。

過去に負った傷(苦しみ)により、
偏った機能しか果たさなくなった脳は、
同じ音楽を毎日繰り返し続けるだけで、
新たな音楽を奏でることはできません。

つまり、苦しみや悲しみは、
人間性の開花の妨げになります。





負荷をかけないと心は鍛えられないの?


先程もお話しましたが、
あらゆる負荷から自由なとき、
脳は全体的に健全に機能することができます。

脳はカオスを嫌い、秩序を求めます。

私たちの心は筋肉のように、
負荷によって鍛えられ得るものではなく、
あらゆる負荷から自由なときにのみ、
天真爛漫に伸び伸びと機能できるのです。

つまり、苦しみを抱えているということは、
脳が混乱していることのサインであり、
混乱を取り除かないかぎり、
質問者さんのいうところの自己成長はないばかりか、
苦しみは却って自己成長を邪魔してしまうのです。

苦しみの状態にある脳の混乱を取り除く者だけが、
苦しみを通して自己成長を遂げるのであって、
苦しみが自己成長に必要不可欠なものだなんてことは、
全くもってありません。

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真理探究に15年を費やした後あらゆる修行・規律・イデオロギーは不毛であると気づく。以来感覚だけを頼りに思考と感情を刻々と観察しながら自己について学んでいる

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